長年疑問に感じていたことについて書きたいと思います。
トラックレース専用シューズともいうべきスパイク。あの薄っぺくて硬い靴を履いて、果たして速く走れるのでしょうか?
パパランは若いころからトラックレースでもシューズで走ることが多かったと記憶しています。理由としては足をできるだけ保護して体力を後半に温存したいからです。スパイクの効果は最初と最後の足を使う場面だけでしょ!という思いもありました。
トラック種目の世界記録は全てスパイク
しかし、トラック長距離種目の世界記録は全てスパイクで出した記録でありシューズで出した記録などありません。それどころか国内のどの大会も上位はスパイクです。
ここで確実に言えることは「あるレベル以上の人はスパイクを履くことでパフォーマンスが向上する」ということです。
スパイクが速く走れる理由
ということでスパイクを履いたら速くなる理由をパパランなりに考えてみました。
- 軽さ・・・シューズに比べて軽いことが挙げられます。レース用シューズに比べて約6~7割の重量といったところでしょうか。この軽さを生かしてランニングエコノミーを向上させていることが考えられます。
- 反発・・・スパイクのアウトソールは比較的硬い素材で作られています。プラスチックや硬いゴムが多く、最近ではカーボン製が増えていますね。この素材でゴム製のタータンを走るわけなので当然地面反力が大きくなります。
- 走り方・・・そして一番大きい理由は走り方によると思われます。スパイク仕様(レース仕様)の走り方ができるかどうかがとても大きな割合を占めていると考えます。10000mのトラックレースは長時間筋組織を破壊しながら走っています。あの薄いスパイクでまともに走ればシューズ以上に筋肉への負荷がかかります。しかし、一定レベル以上のランナーは筋組織の破壊を最小限に抑える走り方を厳しいトレーニングの中で習得しています。具体的には乗り込み動作(自分の体の真下に足を着く)や前回転(重心が常に前にある走り)で効率的に体を動かしています。スパイクが軽くて反発の強い理由は効率良く走ることを前提条件としているのかも知れません。効率の良い走りをレース終盤までできて初めてスパイクを使いこなしたと言えるでしょう。
スパイクで遅くなる理由
さて、スパイクを履いたら遅くなったと耳にすることがありますが、このことについても考察していきたいと思います。
- 筋力不足・・・スパイクは地面反力をダイレクトにもらえる一方、筋力が不足している若年層やベテランランナーにとっては諸刃の剣にもなります。スパイクの蹴り返しに負けない筋力が必要になります。ちなみに40代のパパランはスパイクに大苦戦。若い頃に戻りたい、、、
- 走り方の未熟さ・・・これは速く走れる要因の裏返しとも言えます。重心が後ろ寄りの走り方(疲労によって重心が後ろにさがってしまった)の場合、とても最後までハイペースを維持することができません。
この2点がスパイクを履いて遅くなる要因だと考察します。
安易に高性能スパイクを履くのは危険
昨今の高性能スパイクの登場でトラックのタイムは飛躍的に向上しています。これはとても良いことだと思いますが、安易に高性能スパイクに飛びつくのは危険だと思います。
スパイクを履きこなす力がないままスパイクを使うと思ったような結果がでない場合があります。スパイクは上で説明したようなメカニズムを理解して使用することが大切です。スパイクをうまく使えるようになった上で高性能スパイクを使用すれば、より大きな効果が得られると考えます。
結論
長距離の場合、スパイクは速くも遅くもなります。使う人が一定レベルの能力があればとても効果的な道具になる。しかし能力が低ければ疲労のは早く溜まり逆に遅くなります。自身の力を見極めた上で、スパイクにするのかシューズにするのか、どのスパイクが自分に合うのかを決めていく必要があります
スパイクを上手に使うためには・・・
- 地面からの反発に負けない筋力をつける
- スパイクの特性を理解し上手に使う
- 効率の良いランニングフォーム(前回転や乗り込み動作会得)にする
- スパイクを過信せず自力をつける